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2016年5月23日国際私法

外国人にも日本の法律が適用されるのか・・・①

外国人観光客が、年々増え続けていますが、それと同時に、日本に居住する在留外国人の数も増加傾向にあり、法務省の在留外国人統計によると、2015年12月末現在において、おおよそ223万人もの外国人が日本に在留しているとされています。

また、在留外国人の増加にともなって、日本人と外国人との間の契約などの法律行為や、婚姻などの身分行為も従前にまして増えています。

ところで、日本に居住する日本人同士の法律行為・身分行為について日本の法律が適用されることに疑問を持つ余地はありませんが、日本に居住する外国人と日本人、外国人同士の法律行為・身分行為についても、同様に日本の法律が適用されるのでしょうか。

答えは、「その法律行為。身分行為によって異なる」といったとこでしょうか。

日本の法律に「国際私法」という法律があります。現在の正式名称は、「法の適用に関する通則法」といいますが、この法律は、法廷地(法律行為・身分行為の有効無効を審理する地)からみて一定の法律関係が渉外的な要素をもつときに、その法律関係に最も密接な法を適用すべきであるとの要請から、その法を指定するための法律である。法律の名前からもわかるように、国際私法は、「私法」にのみ適用されるのであり、刑法、税法、などの公法の対象となる法律行為は対象外です。

例えば、①日本人と外国人との間の動産売買契約、②外国人と日本人との婚姻などがわかりやすいでしょうか。

①については、外国人同士の契約は、国籍を基準としてみると、法廷地である日本からみて、渉外的要素を含んでおり、国際私法の適用が必要となります。

そこで、契約に関する法の適用に関する通則法(以下「通則法」という。)7条をみると、「法律行為の成立及びその効力は、当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による」と規定しています。さらに、同法8条1項は、「前条の規定による選択がないときは、法律行為の成立及び効力は、当該法律行為の当時において当該法律行為に最も密接な関係がある地の法による」と規定しています。具体的には、2項で、法律行為において特徴的な給付を当事者の一方のみが行うものであるときは、その給付を行う当事者の常居所地法を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定すると規定し、3項で、不動産を目的とする法律行為については、前項の規定にかかわらず、その不動産の所在地法を当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定すると規定しています。

例えば、日本で古物商を営むAさんの持っているダイヤを、フランス人のBさんに500万円で売り渡すといういわゆる売買契約の成立及び効力に適用される法律を上記にしたがって考えてみると、第1には、当事者が選択した法があれば、その法によって売買の成立や効力が判断されることになり、それがないときには、本ケースでは、通則法8条2項、3項のいずれにも当はまらないので、当該売買契約に最も密接な関係がある法を探求することになります。動産の売買契約の場合、本ケースのような小売契約については、売主の営業所在地法による目示の意思があるとされ、結果的に日本の法律によることになるのが実務的な考え方です。

では、次回は②外国人と日本人との婚姻について、見てみようと思います。