自筆証書遺言は、遺言者が、全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならないとされているのですが、実務上これらの要件が満たされていないものに遭遇することも少なくありません。上述したとおり、方式を満たしていない遺言は無効となりますので、自筆証書遺言の作成にあたっては十分に注意して下さい。
なお、自筆証書遺言の場合、次の公正証書遺言とは異なり、相続人は各種相続手続を行うのに先立ち、家庭裁判所において検認を受けなければなりません。
公正証書遺言は、証人二人以上の立会い下、遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授し、公証人がこれを筆記した上、遺言者及び証人にこれを読み聞かせた後、遺言者・証人が各自これに署名捺印し、最後に公証人が方式にしたがって作成されたものである旨を付記し、署名捺印しなければならいならないとされています。
このように、公正証書遺言の場合、公証人や証人といった第三者が関与するため、後に方式を満たしていないとして無効となる可能性は極めて低いと考えられます。
※その他、証人二人以上が必要となります。