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2016年6月6日国際私法

外国人にも日本の法律が適用されるのか・・・②

さて、今回は、前回の続きで②外国人と日本人との婚姻について見ることにします。国際結婚もまた、国籍を基準としてみると、法廷地である日本からみて、渉外的要素を含んでおり、国際私法の適用が必要となります。そこで、婚姻に関する通則法の条文をみると、次のように規定されています。

 

・24条1項

「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による」

2項

「婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による」

3項

「前項の規定にかかわず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りではない」

 

・25条

「婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による」

 

条文をみると明らかですが、「婚姻」には、成立・方式・効力の3つの法律関係が含まれていることになります。効力の話をすると、長文になりそうなので、今回は、成立・方式についてのみ検討することにします。

婚姻の成立とは、婚姻が可能となる年齢、婚姻について親、後見人等の同意の要否、婚姻意思の有無など、当事者の一方に関する要件や、近親関係にあること、重婚、再婚禁止期間または待婚期間経過などの相手方との関係における要件の充足の有無をいいますが、実務上、各要件については、各当事者が、その本国法が定める要件を具備しているか否かで判断することになります。

例えば、日本において婚姻が可能となる年齢は、男性18歳、女性16歳ですが、韓国においては、男性・女性ともに18歳となっているため、18歳の日本人男性と16歳の韓国人女性の婚姻は、成立しないことになりますが、18歳の韓国人男性と16歳の日本人女性の婚姻は有効に成立することになります。

このように、日本において渉外的要素をもつ外国人との間の法律行為・身分行為は、通則法にしたがって、適用する法律が指定されるため、常に日本の法律が適用されると考えるのは間違いということになります。

次に婚姻の方式についてですが、上記のとおり外国人と日本人の婚姻については、原則的に婚姻挙行地の法が適用されます。したがって、外国人と日本人が日本で婚姻したときは、日本の方式、すなわち戸籍法の定める届出等によることになります。