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2016年5月6日家事事件判例

婚姻に伴って氏を変えるのは変?・・・①

日本人同士が婚姻する場合、例えば、田中一郎と小林一子が婚姻する場合、婚姻後の夫婦の氏を田中にするのか、それとも小林にするのかを決定しなければなりませんが、それはなぜでしょうか。

その理由は、日本の法律が次のように定めているからです。

 

・日本民法739条1項

「婚姻は、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その効力を生ずる。」

 

・日本民法750条

「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」

 

・日本戸籍法74条

「婚姻をしようとする者は、左の事項を届書に記載して、その旨を届けでなければならない。」

1 夫婦が称する氏

2 その他法務省令で定める事項

 

上記のような規定があるため、日本では「夫婦同姓」となりますが、近隣諸国、例えば韓国、中国では「夫婦別姓」が採用されています。アメリカでは夫婦別姓の選択ができるのが原則ですが、女性が男性の姓や複合姓に変更したりするのが一般的です。

日本においても、「夫又は妻の氏」と選択できるようになってはいるものの、「夫の氏」にするのが一般的であるといえるでしょう。

しかし、、法律に上記のような規定があるからといって、婚姻に際して必ず夫婦の一方は、自身の氏を変えなければならないのでしょうか。どうしても夫婦が自身の姓を個々に維持したいと考えた場合であっても、それは不可能なのでしょうか。

 

そもそも個々の人権は、憲法によって保障されていることから、その人権の一部として「氏の変更を強制されない権利」があると考えることはできないのでしょうか。むしろ、そのように考えることができるのであれば、上記のような「夫婦同姓」の規定は憲法に反することになり、無効となる可能性を含んでいることになります。

 

次回は、この点に関する判例を紹介したいと思います。